2016年08月01日

ユーカリナーヴァイス醸造裏話

今年に入って2バッチ目のサワーエールとなる「ユーカリナーヴァイス」が発売となりました。

酸っぱいビールなら何でも「サワーエール」と言えるのですが作り方は多種多様であり、大きく分けて三つの製造方法があります。 それぞれの方法とその特徴を簡単にまとめると下記の通りです。
  1. 酸を直接投入する方法
    乳酸やクエン酸を直接ビールに添加
    【長所】非常に簡単にできる
    【短所】味が単調で深みが出ない
  2. 主発酵の前に酸味を付ける方法
    麦汁の段階で酸味を付けパスチャライズの後、通常発酵
    【長所】比較的手軽にでき汚染の心配がない
    【短所】低いpHで糖化や主発酵を行うため問題が出る可能性
  3. 主発酵の後に酸味を付ける方法
    発酵の際あるいは後で乳酸菌等を投入
    【長所】とても味わいの深い酸味が出せる
    【短所】出来上がりに時間がかかり、他製品への汚染のリスクも高い
3月に仕込んだ「Pink Boots Gose」はアシッドモルトを使って酸味を加えたので、1の手法に相当すると考えられます。

一方で今回の「ユーカリナー・ヴァイス」は2の方法のひとつであるケトルサワーリングと言う手法で醸造しました。 この方法については結構細かい手順をうしとらの植竹氏が公開しているので興味のある方は下記のリンクをご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/other_then_beer/archives/1054814288.html

ケトルサワーリングやサワーマッシングでは長くても48時間程度しかサワーリングに費やさないため、基本的に乳酸菌(ラクトバシルス)しか働きません。 そのため乳酸菌選びが結構重要です。 そう言う意味ではヨーグルトや純粋培養の乳酸菌を使うのが無難なのかも知れませんが、今回はオリジナルのベルリナーヴァイスに近づけるため麦芽に付いている乳酸菌を使うことにしました。

ラクトバシルスにはホモ発酵性とヘテロ発酵性を示すものがあります。 ホモは乳酸しか作らないのに対しヘテロでは乳酸意外に複数の副生成物を作るという違いがあります。 ホモを使った場合せっかく乳酸発酵をさせても乳酸しか出来ないので、1の方法で乳酸を加えたものと大きく変わらないと思われます。

一方、ヘテロを用いれば副生成物が味に深みを与えてくれることが期待でき、単に乳酸を加えた場合に比べて(美味いか不味いかは別にして)複雑な味になることが期待できます。 ホモかヘテロの判定は、乳酸発酵の段階で炭酸ガスが発生するかしないかで区別できるので、乳酸菌の“スターター”を作る際に炭酸ガスが出る乳酸菌を選べば良いのです。

こうして出来上がったのが今回の「ユーカリナーヴァイス」です。 出来上がりのpHが3.11とかなり低い値を示していますが、副生成物のお陰か、それほど強い酸味を感じない仕上がりとなりました。 本場ベルリンではシロップを混ぜて飲むのが一般的と言われている様ですが、「ユーカリナーヴァイス」はそのままでも十分に飲める爽快な酸味ですので、ぜひ一度ご賞味下さい。

次回は是非とも3の方法で作ったサワーに挑戦してみたいと思っています。 しかし、現状でこの方法を採用すると汚染により「香りの生」まで酸っぱくなってしまうリスクが高く、すぐに造ることはちょっと難しそうです。 先日ロサンゼルス&サンディエゴで色々と見学させてもらった感じでは、クリーンな醸造所とサワーの醸造所は完全に分けるのがトレンドの様でした。 しかしそこまで投資するのは零細ブルワリーにはかなり厳しいのが現状です。
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2015年01月02日

飲み頃になると開けやすい?

あちこちより「開けにくい」とコメントを頂いておりますコルク栓のボトルコンディション製品。 特に「スーパーセゾン」を初めとするスパークリングワイン用コルクを使用した製品が開けにくいのを確認しております。 原因としては
  1. ビールの内圧が低い
  2. コルクが太すぎる
  3. 打栓器に問題がある
等を考えているのですが、打栓器のリプレースは費用の問題があるのでとりあえずは1と2の改善を試みています。

現在使用しているコルクは48mm×φ30.5というスパークリングワイン用コルクとしてはレギュラーサイズのものなのですが、これよりも若干小さい製品が入手可能とのことで、次回以降こちらを試してみようかと考えているところです。

製品の内圧については計算上はスパークリングワイン並の圧力に達するようプライミングを調整してるのですがなかなか予定の内圧まで達しないようで、酵母の量を調整したり醗酵用酵母とは異なるタイプの酵母を投入したり試行錯誤を繰り返しています。

年末、久しぶりに「スーパーセゾン2013」を開けてみたところ、かなりスムーズに開栓出来るようになっていました。 最初こそ固く固着した感じでコルクが回らない感じだったのですが、コルク抜きを刺して軽くコルクを回転させたところ内圧にアシストされ見る見るコルクが上昇して行きました。 どうやら一年以上のビン内熟成を経てようやく計算上の内圧に達したようです。

こうなってくると小さいコルクに変えてしまうと逆に抜けやすくなってしまう恐れも出てきました。 醸造技術以上にコルク栓を使用したボトルコンディション技術の奥深さに、今さらながら感心しているところです。
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