2014年03月29日

米なのかトウモロコシなのか?

ちょっと間が空いてしまいましたが「クラシック・アメリカン・ピルスナー」(以下「CAP」と記述)の続きです。 今回はCAPの“主役”的な役割をしている副原料について考えてみたいと思います。

大ざっぱなスタイルと歴史的な特徴については前回の記事で何となくご理解いただけたでしょうか? ひと言でまとめると『ドイツからの移民が新大陸で手に入る材料を使って造った正真正銘のピルスナー』ということになりますが果たして味はどんな感じだったのか? これは原料構成をみると何となく予想がつきます。 再度スタイルガイドラインの言葉を借りると『六条大麦に、過度のタンパク質分を希釈するために20%〜30%のフレーク化されたトウモロコシを加える。クラスターのようなアメリカ原産のホップ、伝統的なヨーロッパのノーブル・ホップや現代的なノーブル交配種がふさわしい。』とあり、鍵は副原料とホップの種類にありそうです。

まずは副原料に着目してみましょう。 スタイルガイドラインによればトウモロコシの他に米を使った製品も存在するようですが、メインストリームはあくまでもトウモロコシのようです。 ドライやクリスプと言った感じになる米に対して、トウモロコシを使用した方が独特の甘味が出るとのことです。 実はこのトウモロコシを使うと言うこともCAPの発祥地がウィスコンシンあたりであったという証拠になると考えています。

前回の記事にも書いたようにウィスコンシンあたりはトウモロコシの一大産地であるコーンベルトに属しています。 一方で、ライスベルトと呼ばれる米の一大産地はドイツ系移民の少なかったアメリカ南部にあります。 北海道での稲作の成功が1870年代だったとことを考えると、北海道と同じくらいの緯度にあるウィスコンシンあたりで当時ライスが栽培されていたとは考えにくく、米を入手するのは難しかったのではないかと思われます。

それでは米を副原料とする流儀はどこが発祥なのでしょうか? 以下個人的な見解ですが、これもウィスコンシン周辺でトウモロコシを入れるCAPと同時多発的に誕生したのではないかと考えています。 五大湖周辺では「ワイルドライス」と呼ばれる米に似た穀物が取れ、古くからネイティブアメリカン達の食用になっていました。 ウィスコンシン周辺もワイルドライスが取れる地域に属しているので、当時は一般的な米よりは入手しやすかったでしょう。 そのため「ワイルドライス」を使ったCAPも少数ながら存在し、これが広まるにつれて「ワイルドライス」ではなく一般的な米が使われるようになったのではないかと推測しています。

米を使用するとニュートラルになってしまい特徴を出しにくいことから今回のレシピではトウモロコシを使用しましたが最近ではワイルドライスも商業的に栽培されているそうなので、これを使ったCAPにもいつか挑戦したいと思っています。

もう一つ重要な原料であるホップについては次回にしたいと思います。
タグ:CAP
posted by FB担当 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ビアスタイル